取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅰ.働き方・休み方改善
1 労働時間管理
夜勤・交代制勤務の勤務間隔を適切に管理している
・1ヶ月単位の変形労働時間制の導入 ・研修医に時間外労働をさせる場合は科長に命令時間を明示させた。 ・研修医が命令時間外に院内に残る場合は自己申告制とした。

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

• 当院では日当直業務を重要な研修要素と捉え、初期研修医が2名ずつ日当直業務にあたっている。一月当たり4~5回。
• しかし日当直業務を担うことで初期研修医の総労働時間は非常に長くなる。当直業務は17時から翌朝9時までの16時間拘束。均等分担で当直3回、日直1回。平日日中の通常業務と合計すると月の労働時間は216時間(休憩、休養を除く)。これに早朝・夕方の回診やカンファランス、手術延長などが加わる。
• 取組前は日当直業務は時間外業務として位置付けられており、日当直だけでも平均56時間の時間外業務に従事。36協定に定めた通常の月の上限を超過していた。
• 医師の働き方改革緊急対策には「労働時間管理の適正化」が盛り込まれており、早急な対策を行う必要があるが、まずは自由に動きやすい研修医から取り組むことを決めた。

取組対象

  • 取組対象
    医師
  • 取組の中心部署・人物
    臨床研修管理室
  • 取組詳細

    • 全医師に対する網羅的な適正化は容易ではないため、まずは技術的に可能な初期研修医に対象を限定した。上級医を中心とした院内関係者に本来あるべき労務の取り扱い方を実務を通じて親しんでいただくことが今後の病院全体の対策の方向性を定めるための最良の方策と考えた。
    • 日勤・夜勤の2交代制とし、当直を夜勤とした。
    → 日当直業務を適法に命令する体制を確立。
    • 日勤シフトはローテーション研修科の業務実態に合わせて、勤務開始・終了時刻を1週間単位で設定し、合計で週40時間となるようにした。
    • 従来の勤務実態とほぼ同様の運用を実現するために、平日の夜勤シフト日の日中、また休日日勤の振替休日は時間外命令として原則的に出勤するようにした。(この分については自動的に時間外勤務が発生する。1回につき8時間。)
    → 研修時間が減ることによる研修の質の低下を防ぐ。
    • 早出、残業などの時間外労働については科長が責任を持って命令時間を明示するようにお願いし、目標とする時間外上限(36協定)を守っていただくことにした。上限は科の特性によるが、可能な科では45時間、長くても80時間を上限としてコントロールをお願いした。
    • 命令時間外に研修医が院内に居残ることを希望する場合は、研修医側が命令ではなく自発的な居残りであることを確認、記録して許可することとした。

実施後の成果

Ⅰ.働き方・休み方改善_成果
1 労働時間管理 成果
時間外労働時間数が減っている
成果の出た対象 ☑医師,☐コメディカル,☐看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】
成果指標 • 日当直業務を含む初期研修医の所定労働時間は各科で特に時間外業務を命じない限り月45時間以内と適法な範囲に収まった。
• 1か月単位の変形労働時間制を使用して各科の勤務実態に合わせた日勤シフトを組むことにより、早朝のカンファランスや手術日の日常的な業務延長の一部を所定労働時間内に収めることができた。
• 労働時間外に研修医が自主的に病院内に居残る仕組みも構築できた。
• 日当直業務の管理体制が明確になり、体制変更等がスムーズに行えるようになった。

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

● 研修管理者の声
指導医が毎日の勤務時間を明示することが必要だが、これまでの医師の労働慣習と異なることもあり、まだ適切な運用が全ての科ではなされていない。指導医の理解を得ることが最重要課題。
● 研修医の声
勤務時間終了後の居残りや院外勉強会等を強制されることはない。また強制的に帰宅させられることもなく、そのまま現場に残って見学、また研修医室での自主学習も可能。

今後の課題等について

初期研修医への新たな労務管理の導入を経験し、具体策の検討や関係部署との折衝、広報、契約などに年単位の作業が必要であることがわかった。
上級医を中心とした院内関係者に本来あるべき労務の取り扱い方を実務を通じて親しんでいただくことが今後の病院全体の対策の方向性を定めるための最良の方策であろうと考えている。

取組・提案者概要

取組者
病院単体での取組
法人名
独立行政法人労働者健康安全機構
病院名
関東労災病院
法人(病院)の開設主体
国等(厚労省、国立病院機構、国立大学法人、労働者健康安全機構、国立高度専門医療研究センター、地域医療機能推進機構、その他国の機関)
所在地
神奈川県川崎市中原区木月住吉町1-1
主たる医療機能の特徴
急性期機能
一般病床
病床数: 610
 
入院基本料:7対1
療養病床
病床数:
 
入院基本料:
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数:
 
入院基本料:
その他病床
病床名:
 
病床数:
 
入院基本料:
一日あたりの平均外来患者数
人(年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
人(年度数値)
一般病棟の平均在院日数
日(年度数値)
病床稼働率
%(年度数値)
職員総数
人(年度数値)
医師
200人
看護職
648人
医師事務作業補助者
133人
看護補助者
医師の交代制勤務の有無
なし
看護師の交代勤務の状況
勤務環境改善についての表彰・認定等について