取り組んだ内容

【取組(1)】
Ⅰ.働き方・休み方改善
1 労働時間管理
夜勤・交代制勤務の勤務間隔を適切に管理している
変則2交代制勤務の導入

取組のきっかけ、背景、取組前の問題点

当院は、2013年度~2015年度までの3年間、日本看護協会が実施する「看護職のワーク・ライフ・バランス普及推進ワークショップ」事業に鳥取県看護協会の参加病院として取り組みを行った。
その後2016年度~2018年度までの3年間は鳥取県医療勤務環境改善支援センター事業に参加し、約6年間WLB推進のための活動を継続している。
当院がこの取り組みを開始した背景には、育児休業取得職員や育児短時間制度の利用者が増え、夜勤者数が年々減少してきた現状があった。
それに加え、日本看護協会から看護職の「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」が発行されガイドライン上にある「勤務編成の基準」の11項目のうち、基準1:勤務と勤務の時間は11時間以上あける⇒*7時間しかあいていない 基準2:勤務の拘束時間は13時間以内とする⇒*2交代の部署は拘束時間が16時間である 基準10:交代の方向は正循環の交代周期とする ⇒*逆循環交代周期である。と基準を満たしていない現状だった。そのため、この3つを優先課題として、WLBの推進活動に取り組んでいった。

取組対象

  • 取組対象
    看護職
  • 取組の中心部署・人物
     2013年に病院幹部会議を通じてWLB推進事業に取り組むことを決定した。その後院長・総務課長・臨床検査技師長・リハビリテーション技士長と看護部の合計24名でWLB推進委員会を立ち上げ、委員会は月1回の定期開催とした。
    現在の委員会メンバーは18名である。
  • 取組詳細
     <1.変則2交代制勤務の導入>
     初めに、現在の勤務形態・種類の一覧表を作成した。
    その後、看護部長が日本看護協会の提示する「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」について夜勤・交代制勤務に関する基本的な考え方、他施設の取り組み、実践状況、当院の現状と課題等についてプロジェクトチームメンバーに説明し、チームメンバーから各部署職員へ内容についての説明を行った。
    事前に、職員には変則2交代制勤務に関する、アンケートを実施し、夜勤をしていない職員で、「22時頃までなら勤務できる、出来そうである」と回答した職員が33%、「16時間は長くて出来そうにないが、12時間なら勤務できそうである」と回答した職員が70.3%あった。
    この結果を基に勤務形態の変更を検討した。
    ① 2013年、モデル病棟看護師の可能な勤務形態の把握
    ② 労働基準法や就業規則等を確認し、勤務形態・勤務表(案)の提示
      新たな勤務形態の追加→長日勤:8:30~21:30  夜勤:21:00~9:00
      *長日勤と夜勤は2勤務で24時間(3日分)となるためできるだけセットでつける。
    ③ チームメンバーを中心に勤務形態の変更に伴う業務の見直し
    ④ 2014年5月からモデル病棟で実施
    ⑤ 時間数の調整や勤務種別と勤務時間、長日勤者への処遇等を事務部門と協議→就業規則の改正
    ⑥ 2014年10月から3部署で実施
      長日勤の業務が多く、多忙であるとの声があったため、外来及び透析室の職員を一般病棟へ多忙な時間帯(17時~19時)の援助要員として派遣
    ⑦ 2015年1月から病棟・外来一元化を実施
    (職員間での業務調整等の問題が発生したため、2016年3月で中止)
    ⑧ 2017年4月から16時間2交代制勤務をしていた療養病棟で実施→全病棟実施
     この間、再三の職員アンケートを基に、「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」の勤務編成の基準に沿って、当院で取り組める勤務形態の検討を重ね、変則2交代制勤務を確立していった。

実施後の成果

Ⅰ.働き方・休み方改善_成果
1 労働時間管理 成果
その他
成果の出た対象 ☐医師,☐コメディカル,☑看護職
成果に影響を与えた取組 【取組(1)】
成果指標  看護部の過去5年間の常勤看護師の離職率は
2014年7.6%
2015年3.8%
2016年4.8%
2017年6.0%
2018年7.6%であり全国平均より低い数値で推移している。
(離職率がこの2年間で上昇しているのは、定年退職者が多い年度であったためである)

これまでの取組成果に対する院内の声・反応

これによって日本看護協会の「夜勤・交代制に関するガイドライン」上の、優先課題としていた3項目をクリアする事が出来た。
現在は、特に職員からの不満もなく、働き方にも慣れ、夜勤者は、仮眠時間もある程度確保でき、夜勤の負担軽減につながっている。
その反面、長日勤者の業務が多忙であり、時間が長いため疲労感が強く、次の勤務への影響がある時もあるようだ。

今後の課題等について

今後は、長日勤帯の業務のスリム化を行い、超過勤務時間の短縮に向けた取り組みが必要であると同時に、長日勤に変わる午後から出勤の8時間勤務との組み合わせなどを検討し、各勤務の負担軽減のための体制を整えていく必要がある。
そして、育児短時間制度や夜勤免除制度を利用する職員と、勤務制限なく通常勤務を行っている職員の不公平感意識をどのように埋めていくのかが今後の課題である。

取組・提案者概要

取組者
病院単体での取組
法人名
社会福祉法人恩師財団 済生会
病院名
鳥取県済生会境港総合病院
法人(病院)の開設主体
公的医療機関(日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連、国民健康保険団体連合会)
所在地
鳥取県境港市米川町 44番地
主たる医療機能の特徴
急性期機能
一般病床
病床数: 107
 
入院基本料:10対1
療養病床
病床数: 30
 
入院基本料:療養病棟入院基本料1
結核病床
病床数:
 
入院基本料:
精神病床
病床数:
 
入院基本料:
その他病床
病床名:地域包括ケア病棟
 
病床数:60
 
入院基本料:地域包括ケア病棟入院料1
一日あたりの平均外来患者数
369.9人(平成30年度数値)
一日あたりの平均在院患者数
167.3人(平成30年度数値)
一般病棟の平均在院日数
17.3日(平成30年度数値)
病床稼働率
85.8%(平成30年度数値)
職員総数
340人(平成30年度数値)
医師
29人
看護職
157人
医師事務作業補助者
4人
看護補助者
48人
医師の交代制勤務の有無
なし
看護師の交代勤務の状況
2交代制(変則含),当直制,オンコール体制
勤務環境改善についての表彰・認定等について
平成27年12月 鳥取県 男女共同参画推進事業の認定を受けた 平成28年5月  日本看護協会 看護職のWLB推進 カンゴサウルス賞 授賞