取り組んだ内容
【取組(1)】 Ⅰ.働き方・休み方改善 |
2 勤務負担軽減 |
チーム医療や多職種連携(業務分担・連携の強化等)により負担軽減を図っている |
【取組(2)】 Ⅳ.働きがいの向上 |
1 キャリア形成支援 |
その他 |
正規・非正規を問わず各職種の職員の中より医療連携アドバイザーになるためのキャリア形成支援が実施されている |
取組のきっかけ、背景、取組前の問題点
文部科学省助成事業(平成23年度~25年度)に「医療連携アドバイザー養成プログラム」が採択され、取組を開始した。
事業の目的は、医師不足や医療の高度化・複雑化で業務が増大し、医療現場は疲弊しており、医療スタッフが目的や情報を共有して、業務を分担することが重要であるため、まず人材育成のための教育プログラムの開発・実施が必要であるとして、文部科学省の採択を得て「医療連携アドバイザー養成プログラム」を開発した。
取組対象
- 取組対象
医師,コメディカル,看護職
- 取組の中心部署・人物
・病院長をトップに医療連携アドバイザー養成運営委員会を立ち上げ、その下部組織として医療連携アドバイザー養成担当(TFT)が本取り組みの中心となった。
・TFTメンバーは、専従の看護師1名、事務3名、併任の医師5名、教員2名、事務4名の計15名。
- 取組詳細
1.業務改善を推進する体制の整備
文部科学省助成事業(平成23年度~25年度)「医療連携アドバイザー養成プログラム」において、多職種連携(業務改善)を推進する仕組みを整備した。
平成25年度末までに医療連携アドバイザー養成プログラム修了認定者31名、運営・企画・講師陣の医療連携アドバイザー36名、計67名の養成を行った。
2.業務改善の推進
事業の成果・効果を継続するため、医療連携推進チームを設置し、各職場・職種の医療連携アドバイザーと連携して、各職場・職種間の連携の問題の発見・調整・解決を図り、無用なトラブルの減少、効率的な医療・患者サービスの向上等を図っている。
実施後の成果
Ⅰ.働き方・休み方改善_成果 | ||
2 勤務負担軽減 成果 | ||
多職種連携に関する問題解決の取り組みを実施し、業務改善がすすみ、勤務負担軽減が実現されつつある。 | ||
成果の出た対象 | ☑医師,☑コメディカル,☑看護職 | |
成果に影響を与えた取組 | 【取組(1)】 【取組(2)】 | |
成果指標 | 【部門間連携に関する問題解決・業務改善】 •業務改善ツール(様式)の開発(問題発見・解決 検討シート、デザインシート)およびマニュアルの整備。 •情報提供シート(主治医と産業医間)の開発。 •医療連携アドバイザーの養成を通じた実践。部門間の連携に関する問題解決の取組を実施し、約50件の業務改善を行うとともに、業務改善の内容を「改善事例集」として取りまとめを行い配布した。 |
Ⅳ.働きがいの向上_成果 | ||
1 キャリア形成支援 成果 | ||
組織が期待するような職員のキャリア形成(職員の業務遂行能力の向上、期待どおり又は期待以上の能力の発揮等)が実現されている | ||
成果の出た対象 | ☑医師,☑コメディカル,☑看護職 | |
成果に影響を与えた取組 | 【取組(1)】 【取組(2)】 | |
成果指標 | 【専門資格保有者数】 ・医療連携アドバイザーの養成(31名) |
これまでの取組成果に対する院内の声・反応
医療法の改正でうたわれた「医療機関の勤務環境改善」とのつながり:2014年6月に成立した「医療介護総合確保推進法」における医療法の改正により、同年10月1日以降、医療機関(医療法では「病院又は診療所の管理者」と規定)は、「医療スタッフの安全と健康は、患者の安全と健康を守る」という共通認識を医療機関で共有し、幅広いスタッフが参加する形で、PDCAサイクルにより計画的に医療従事者の勤務環境の改善に取り組む仕組み(医療勤務環境改善マネジメントシステム)を導入することが求められた。また、医療勤務環境改善マネジメントシステムは、恒常的に医療従事者の勤務環境の改善や向上が図られるプロセスの実施を目指すものである。このことは、医療連携アドバイザーの目指すビジョンである「働き続けたい病院No.1」の実現と活動方針の「一貫した患者支援を実現する連携」につながる。病院はPDCAサイクルを活用して計画的に勤務環境改善に向けた取り組みを行うための仕組み作りがよりいっそう推奨されるようになることから、これらの動きと合わせて医療連携アドバイザー活動が院内の体制づくりに役立つと考える。
院内の反応として、
ネガティブな意見としては、業務時間内に医療連携アドバイザーは活動や教育を受けることとなり、時間調整や時間確保が困難なことに加え、職場を離れることで他のスタッフへの負担がかかるなどの意見があった。部門間の問題解決については、問題がわかっていても多大な予算が必要な対策については、改善が困難となる、などの意見があった。
ポジティブな意見としては、他部門の業務内容・大変さ(思い)・状況(問題点)などの生の声を聞くことで以前より理解できた、今まで言えなかった問題について発言する場を得ることができた、話す機会が増え親近感や仲間意識が生まれた、他部門の人と医療連携アドバイザーと通じて顔見知りが増え連携がしやすくりさらに業務がスムースにできるようになった、などの意見であった。
今後の課題等について
平成26年度の目標は、「医療連携推進チーム」においては、 医療連携アドバイザーの活動を支援(改善取組の目標20)し、年度末に成果の発表を行うとともに、医療連携アドバイザーが各部門2名となるよう養成を行う。 そのほか、患者満足度調査、広報等を行う。また、「医療連携アドバイザー」においては、各部門1個以上の問題について改善の取組みを行い、年度末に成果の発表を行う。
今後の課題は、医師の巻き込み、 医療連携アドバイザーの活動の評価、 医療連携アドバイザーの活動に対する院内の認知度の向上である。
取組・提案者概要
- 取組者
- 病院単体での取組
- 法人名
- 学校法人 産業医科大学
- 病院名
- 産業医科大学病院
- 法人(病院)の開設主体
- その他(公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人)
- 所在地
- 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1番1号
- 主たる医療機能の特徴
- 高度急性期機能
- 一般病床
- 病床数: 638
- 入院基本料:7対1
- 療養病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 結核病床
- 病床数:
- 入院基本料:
- 精神病床
- 病床数: 40
- 入院基本料:10対1
- その他病床
- 病床名:
- 病床数:
- 入院基本料:
- 一日あたりの平均外来患者数
- 1273.9人(平成29年度数値)
- 一日あたりの平均在院患者数
- 576.6人(平成29年度数値)
- 一般病棟の平均在院日数
- 11.7日(平成29年度数値)
- 病床稼働率
- 85%(平成29年度数値)
- 職員総数
- 1581人(平成29年度数値)
- 医師
- 441人
- 看護職
- 814人
- 医師事務作業補助者
- 20人
- 看護補助者
- 70人
- 医師の交代制勤務の有無
- なし
- 看護師の交代勤務の状況
- 2交代制(変則含)
- 勤務環境改善についての表彰・認定等について
- 日本医療機能評価機構による病院機能評価:2014年12月16日~17日に実施された病院機能評価の結果報告で、医療連携アドバイザー教育プログラムの取り組みが、【患者中心の医療の推進】の項目の「医療サービスの質改善に継続的に取り組んでいる」で、「S:秀でている」の評価であった。評価された点は、「2011年~2013年にかけて、文部科学省に採択された“医療連携アドバイザー養成プログラム”の取り組みを行い、他の部門や職種との連携を高めるために、各部門をまたぐ問題・課題の解決推進者の養成を行ったこと。さらに、2014年以降も医療連携推進チームと名称を変更して次期医療連携アドバイザーの養成や同時に業務改善を実施すると共に、医療サービスの質改善に継続的に取り組んでいる。」という点であった。